閑静な住宅街 謎の中華料理屋に潜入…!? ボーノ

 「なぁ、花園町のバス停の前にある中華料理屋知ってる?」

 授業中に友人が話しかけて来た。

 花園町は叡電の八幡前駅から北に数分歩いたところにあるバス停で、彼や僕の生活圏内にも十分収まっている。訊けばそんな場所に安くてうまい中華料理屋があるらしい。

 おまけに、「店内の上の方にプラレールが敷いてあってお客さんが鏡で見れるようになっている」だとか、「元々餃子の王将だったが独自色を出しすぎて数年前にFC契約を破棄されて普通の中華屋に鞍替えした」だの意味不明、真偽不明の怪情報がわんさかでてくる。

 思い立ってまずはネットで検索してみると王将時代の写真が数枚出て来た。

 名は岩倉店と言ったらしい。

 「道理で国際会館にある王将は岩倉店じゃなくて宝ヶ池店なのか!」と一人アハ体験をしたのち、俄然行きたくなってきたので、あくる日の昼に訪れた。

 グーグルマップにも飲食店としては登録されておらず、玄関にも店名が掲げられていないので、店内のメニューを見てようやく店名が「ボーノ」であることを把握。なんで中華なのにイタリア語なんだよ、とおかしくてたまらないが、店構えも東伊豆とかありそうなバブル残滓の謎にガラス張りな専門店風廃墟、といった佇まいで事前情報がなければまず入らない感じだ。

 店内に入るとご夫婦が暖かく出迎えてくれた。ファニーなテイストではあるが綺麗なインテリアも悪くない。

 色々なメニューの中からギョウザ丼(450円)を選び注文。小さなテレビから垂れ流されるワイドショーを見ながらしばらく待つと、ご主人がお盆に乗った丼と味噌汁を運んで来てくれた。

 450円とは思えないボリューミーな丼の登場に感動しつつご飯の上の餃子をかき分けるとさらなるハプニングが。

 なんとこの丼、ごはんと餃子の間に豚ニラ炒めまで挟まっていたのだ!

 びっくりしてふと天井を見上げると、斜めに設置された大きな鏡が。目を凝らすと、隅の方に埃をかぶってひっくり返っているプラレールが映っていた。

ボーノ
〒606-0024 京都府京都市左京区岩倉花園町360−2
叡山電鉄八幡前駅より徒歩6分/京都バス花園町バス停すぐ

営業時間:12:00~18:00 

定休日:月・火(不定休あり)

文:放蕩息子

ANTHOLOGY KYOTO

京都の各所で様々なライター達が体験した体験記です。 これから京都を好きになる人、楽しもうと思っている人にとって、 この体験記が少しでも役立てればと思っています。

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